「あ〜あ、負けちゃった。」
李厘ががっかりしながらグーを出した自分の手元を見ている。
ジャンケンだけはわざと勝ったり負けたりって出来ないから・・・しょうがないよね。
「それじゃぁおねぇちゃん隠れるね。どの位隠れる時間くれる?」
「ん〜・・・20秒!」
20秒!?そんなの絶対無理!
50M走るのに10秒近くかかるあたしじゃぁこの部屋出るので精一杯じゃないか!
「李厘ちゃん・・・もう少し時間増やしてっ!」
「えーそれじゃぁ・・・40?」
「もう一声!!」
「おねぇちゃん、すっごい遠くに逃げるつもりだなぁ?」
いや、ただ単に逃げ足が遅いから何だけど・・・ま、誤解してくれれば少しは時間が稼げるかな。
「ばれちゃったか、そのつもりだから50くらい数えてv」
「ん〜・・・」
暫く腕を組んで考えていた李厘だが、にっと笑うとあたしの申し出を受けて50数えてくれることになった。
「それじゃぁ、隠れま〜す!」
「うん・・・!?おねぇちゃんちょっと待ったぁ!!」
「何!?」
今まさに駆け出そうとした後姿に思いきり大きな声が浴びせられ慌てて振り返る。
「おねぇちゃんの名前、教えて!」
「あ・・・」
そういえばバタバタしてて名乗るの忘れてた。
「ゴメン、捜してる時とか、見つけた時に名前知らなかったら不便だよね。あたしの名前はだよ。」
「ちゃんか・・・よーし、何処に隠れても絶対にオイラが見つけてみせるからね♪」
「そう簡単にいくかな?」
ニヤリとまでは行かないけど、ちょっと意地悪な笑みを浮かべたままあたしは扉を開け廊下に出た。
パタンと扉を閉めると、その中からやる気満々の李厘の数を数える声が聞こえる。
物置部屋を背に右側に視線を向けるとどうやらその奥に扉らしきものが見える。
さすがにこの距離だとすぐに見つかってしまいそうだ。
とりあえず物置部屋から離れるべく左の廊下をまっすぐ走った。
廊下をまっすぐ走って道なりに進むと左手部屋らしき物が見える。
その先に視線を走らせるとまだ廊下は続いているようだ。
一応物置部屋からは離れたのか、李厘の数を数える声は全く聞こえなくなった。
かと言ってそんなに時間が残っているわけでもない。(多分)
さて、貴女はどうしますか?
★ とりあえず部屋に入ってみる
☆ 部屋に入らず先に進む